中高年世代のための生命保険「本当のカラクリ」

2015-02-25 [週刊大衆03月02日]



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入院、がん、要介護。次から次へと不安をあおられ、安心料は大暴騰! 老後貧乏になる前に、見直すべし!

多くの人が"なんとなく"入っている生命保険。なかでも、一般的な定期保険は、40代以降が更新のタイミング。「保険料が跳ね上がって大慌てした」「営業マンの勧めで更新や転換をしたら損をした」なんて例も後を絶たない。
そうした事態を防ぐためにも、中高年こそ"生命保険のカラクリ"を知っておく必要がある。

「保険とは、加入者が必ず損をする仕組みになっているんです」
こう保険に異を唱えるのが、元保険営業マンで現在はオフィスバトン「保険相談室」代表で、『生命保険の「罠」』などの著書で知られる後田亨氏だ。
「入院やケガで資産を失いたくない、老後の資金を食いつぶしたくない。そういった理由で入る人がほとんどですが、保険はお金を前払いして将来に備える手段。その方法自体、優れているのか考えるべきです」

そもそも保険とはどういう仕組みなのか、ここでおさらいしておこう。
「保険料を集め、そこから保険会社の人件費や宣伝費といった経費を差し引き、残ったお金を有事の際に分配する仕組みです。よって、払い込み総額に対して、リターンは少なくなって当然。実際、終身タイプの医療保険の場合、還元率は70%程度と推察され、競馬より割が悪い計算になります」

老後になると病気などで回収機会は増えるものの、不利な"賭け"に投じるお金も増える。さらに、保険会社は各商品の手数料率や還元率を公表しないケースがほとんどで、かなり不透明な商品なのだという。
「仮に100万円を保険に使っても、リターンはそれ以下。それなら100万円を貯蓄して、もしもの際にはそこから捻出したほうが、余計なコストも手間もかかりません」
それゆえ、極力、加入しない方が望ましく、入る場合でも"必要最低限"の保障にすべきだという。

「いろいろな特約や積立機能がついた複雑な商品ほど、無駄が多いんです。主に債券で運用する個人年金保険だって、保険料から手数料が引かれているわけです。それならば、自分で個人向け国債でも買えばいい。100万円払い込んで、仮に10年後に110万円保険金が受け取れるとしても、契約当初は元本割れリスクもあるし、金利や物価の上下で、お金の価値も変わります」

さらに、
「介護保険にせよ、要介護状態になる年齢は75歳以降がほとんど。今50歳だとしたら、25年も先のことを憂慮して資金を投じるのは、賢明な選択でしょうか? "必要な時"に仕方なく利用するというスタンスがベストです」(以上、後田氏)
では保険が必要な時とは、どんな場合なのだろうか。

「保険での備えに適しているリスクとは、"発生頻度が少なく、被害が大きい"事態です」こう語るのはフィナンシャルプランナー(FP)で「マネーライフプランニング」代表の小屋洋一氏。

「たとえば、妻子を残して突然死んだり、現役世代で寝たきり生活になってしまう、といったリスクです。一方、病気やケガで短期入院するなど、発生頻度は高くても、生活への影響がそれほど大きくない事柄については、必ずしも保険でまかなう必要はありません」
現に、前出の後田氏は「保険のプロが選ぶのは、死亡保障のみの、掛け捨て定期保険。他は重視しない」と証言し、こう続ける。
「保険会社の社員は自社商品に入っていないことも珍しくない。勤務先で加入できて保険料が安い『団体保険』を好んでいます。自営業者など『団体保険』に入れない方で、大型の死亡保障が不要であれば『都道府県民共済(総合保障型)』を選ぶ手もあります」

加えて、前出の小屋氏は、保険に入る際は、必要となる保障額を試算することが重要だと主張する。
「死亡保障を検討するなら、世帯主が急逝した場合、家族にいくらお金が入るのかをあらかじめ調べておきます。会社の死亡退職金や死亡見舞金、弔慰金、勤務先の遺族年金、育英年金制度を調べたうえで、公的保障である遺族基礎年金、遺族厚生年金を計算しましょう」

もらえる金額がわかったら、次は支出を計算。
「子どもがいる人は予定教育費、成人するまでにかかる生活費を試算します。現在の貯蓄と、死後にもらえる金額の合計から、こうした出費を差し引いた不足分が必要保障額です。これを保険で補えばいいんです」
がん治療は貯蓄でまかなえる

ゆえに、子どもはすでに独立しているという中高年の場合、必要保障額はかなり少なくなる。
「子どもが社会人になるまで掛け捨ての死亡保険に入る価値はありますが、その後は相続対策でもない限り不用です」(後田氏)

また、住宅ローンで自宅を購入している人は必要保障額をさらに抑えられる。
「たいていはローンを組むと同時に、死亡または所定の高度障害に陥ると残債分が受け取れる『団体信用生命保険』に入っているので、返済の必要がなくなります」(小屋氏)

こうした必要保障額の試算は、医療保険を検討する場合にも有効だ。
小屋氏は、「公的な健康保険には『高額療養費制度』があり、年収が370~770万円の現役世代なら、1か月に数十万円の医療費がかかっても、自己負担額は9万円程度。病気やケガで会社を休んでも、1日につき被保険者の標準日額の3分の2に相当する額が『傷病手当金』として、最長1年6か月は受け取れます」

それゆえ万が一、入院することになっても、思ったより出費は少ないのだ。
「まずは国や、勤務先の健康保険の中身を理解しておくことが前提です。そのうえで、入院費用や治療中の生活費、収入の減少分がどれくらいかを試算し、必要保障額を出します。その金額以上の貯蓄があれば、わざわざ医療保険に入る必要はありません」(同)

そもそも中高年の場合、貯蓄で対応できる場合のほうが圧倒的に多いという。
「35~65歳における退院患者の平均在院日数は、全傷病で約30日、長いもので脳血管疾患の57日です。高額療養費制度を考慮すると、約18万円の貯蓄があればたいてい対応できます」(同)

では、大病の代表、がんの場合はどうだろうか。高額な治療費がかかるイメージもあり、『がん保険』には興味があるという人も多いことだろう。

これに待ったをかけるのが、後田氏だ。
「『アフラック』が、実際にがんにかかった経験のある人を対象に調査したアンケートでは、がん治療全般(入院・食事・交通費などを含む)にかかった費用は、50万円程度、もしくは100万円程度と答えた人が最も多く、全体の約7割を占めました。これは、貯蓄でもまかなえる額でしょう」
さらに、
「40歳の男性が向こう10年で、がんに罹患する割合は2%程度。64歳まで範囲を広げても、9割はがんにならないのです」

また、最近注目されている『先進医療特約』についても、
「重粒子線治療などの先進医療は、前立腺がんや肺がんといった一部のがん治療にしか有効ではなく、極めてレアケースなんです。年間約80万人ががんと診断されていますが、その中で先進医療を利用しているのは約3000人と、わずか0.4%に過ぎません」
特約が充実したタイプでは、払い込み総額が200万円になることもあるがん保険。不必要に不安をあおるCMや営業トークに踊らされず、冷静に判断したい。

一方、発生頻度は少ないが被害が大きいという点で備えておきたいのは、定年前に長期の寝たきりとなり、仕事ができなくなる場合だ。
高額療養費制度があるとはいえ、傷病手当の保障期間が切れ、収入が途切れるというリスクも想定される。
「これに対応するのが、就業不能状態に陥れば保険金が支払われる『就業不能保険』です」(小屋氏)

ただし、これには落とし穴もある。
「現職復帰が対象とは限らず、労働条件を下げたり、異業種に転職すれば働ける可能性がある場合は、保険金がおりないこともあります。支払い実績が不透明な点は否定できません」(同)
こうした、保険の"支払い条件"は盲点になりがちだ。
"契約件数トップ"は無意味

外資系保険会社『AIG』グループで契約高・契約件数ともに世界一になった経歴を持ち、現在、保険代理店「保険を見直し屋」の代表を務める納寛文氏は、こう指摘する。
「終身医療保険で、1回の入院につき60日を保障すると謳っていても、入院と次の入院の間隔が180日以上空いていないと、継続していた入院とみなされるんです。重病だと闘病期間が1年以上になることもあるうえ、いったん退院してから、次に入院するまで180日も空きません。入院保障の60日などすぐに超えます。また、医療費負担の上限は健康保険で定められており、60日以内の入院なら8万8800円(70歳以上、一般世帯者)。1年間入院しても、70万円(69歳以下、収入約370~770万円未満)で足ります。終身医療保険に70万円以上支払うのはムダの極みです」

最近よく耳にする『日帰り入院』にも、こんな罠が……。
「病院から入院と言われない限り、処置室での治療に入院費は発生せず、医療費明細書に入院費が記載されることもありません。日帰りで入院費がかかる実例を説明すべきです」
また介護保険にも要注意。
「民間の介護保険の支払い条件は、"主に慢性疾患や難病が原因で要介護2認定以上"というものが一般的です。すでに、これらの傷病に当てはまる場合は、保険に入れないケースがほとんど。反対に、現在健康で、加入可能な人の場合、所定の疾病に今後該当する確率はかなり低い。末期がんも条件の一つですが、40~64歳で末期がんだと、進行が早いため、介護が必要な期間は多くなく、保険の支払いが無駄になる確率は高い」

さらに、こう警告する。
「保障に該当する確率がほとんどないと思われる条件をつけて保障するという詐欺まがいの商品を挙げればキリがありません」

そんなとき、頼りにしたくなるのが、テレビCMなどでも盛んに宣伝されている保険の無料相談所。しかし、過信は禁物だという。
「無料で相談に乗っているだけでは商売になりません。様々な保険会社の商品を代理販売し、販売手数料で儲けているんです。ゆえに、相談者に適した保険より、販売手数料が高い商品をプッシュすることもあります。"売る"のが本業なので、公的医療保険制度、約款の保障条件の意味などの説明がない」
有料であっても中立の立場で適切な判断をしてくれる相談所を選んだほうが、結局は節約につながる。

さらに、後田氏は、注意すべきセールストークについても明かしてくれた。
「"契約件数トップ"という売り文句に引っかかってはいけません。保険のことをよく知らない素人がたくさん入っていても無意味です。保障内容について触れていない、安易な営業に乗らないことです」

お守り代わりに入ってきた保険を、今さらやめるのは勇気がいるが
「公共事業と同じで、無駄ならすぐにやめること」(後田氏)。
保険に頼りすぎないことが、豊かな老後への第一歩なのだ。

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